るい痩(やせ症)




            るい痩とは、体形が通常の範囲を超えて痩せていることで、なんらかの苦痛や
         不快感をともなっています。家族的・体質的に痩せていて元気であったり、鍛練
         によって痩せて強健なものは、るい痩の範疇には入りません。とくに原因がなく
    急速に痩せる場合は、悪性腫瘍や代謝疾患を疑うべきであり、専門医を受診す
    る必要があります。熱病で飲食ができないために痩せることもありますが、主症
    状ではないので本項には含めません。

                       食べるのに痩せる

食欲があり、通常にあるいは通常以上に食べるのに、痩せて太らないことで、いわゆる「痩せの大食い」などに相当します。
代謝が過度に行われるために痩せるのであり、「消穀善飢」「邪熱殺穀」などと呼ばれ、
火熱による陰液の消耗が原因です。

弁証 主症 治法 代表方剤
胃熱 よく食べるがすぐに空腹になる、食べても身
につかず痩せる、のどが渇き水を飲むなど
の症状があります。
清胃瀉火 白虎加人参湯
心肝火旺 精神的ストレスなどによるるい痩。いらいら・
焦躁・怒りっぽい・不眠・頭痛・めまいなどの
症状があります。
清肝瀉火
清心瀉火
竜胆瀉肝湯
黄連解毒湯


陰虚

慢性病・老化・過労・熱病などによる消耗でるい痩。皮膚の乾燥・熱感・ほてり・ねあせなどの症状があります。

弁証 主症 治法 代表方剤
心陰虚 頭のふらつき・めまい感・寝つきが悪い・寝むりが浅い
多夢・不安感・焦燥感・動悸などの症状があります。
滋陰清熱 天王補心丹
肺陰虚 慢性の空咳・痰に血が混じるなどの呼吸器の障害が
あります。
滋陰清熱 麦門冬湯
肝腎陰虚 頭痛・頭のふらつき・耳鳴り・目の充血・口が苦い・
イライラ・生理が一定しない・腰や膝がだるいなどの
症状があります。
滋陰清熱 六味丸
杞菊地黄丸


      食べられずに痩せる

食欲がなく摂取量が少なくて痩せたり、ある程度は食べられるのに消化が悪いために痩せるのは、脾胃に問題があります。
胃は飲食物の受納と腐熟を主っており、胃の損傷では飲食物の受け入れと消化機能が悪化するためにるい痩します。
脾は胃が腐熟した栄養物である水穀の精微の吸収と運輸を主っており、脾の障害では栄養を全身に配布できないためにるい痩します。

脾胃虚損 虚弱・老化・慢性病・熱病・飲食の不摂生などで脾胃が衰弱した病態です。
弁証 主症 治法 代表方剤
胃気虚 食べられない・少し食べると満腹する・
吐き気・嘔吐など。
益気和胃 小半夏加茯苓湯
胃陰虚 空腹であるが食べられない・少し食べると
満腹・乾嘔・のどが渇き水分が欲しい。
滋養胃陰
和胃
麦門冬湯
脾気虚 食欲不振・味がしない・食べると腹が脹る
などで次第に痩せる。
益気健脾 六君子湯
脾気陰両虚 食欲不振などで次第にるい痩するほか、
口唇の乾燥・肌につやがない・爪傍の角化
・手足のほてりなどの症状があります。
滋補脾陰
益気健脾
参苓白朮散
胃内留飲 胃がつかえたり脹って食べられない、嘔吐
、胃部でグルグル音がし、元気がない
などの症状があります。
行気理水
健脾和胃
平胃散
五苓散
肝気横逆脾胃 ゆうつ・いらいら・怒りっぽいなどに、
食欲不振・腹満・腹痛・下痢・吐き気
・嘔吐などの症状があります
疏肝解鬱
健脾和胃
加味逍遥散



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